おやすみプンプン」13巻、「僕」と愛子ちゃんの逃避行のシーン。ケータイSHOP DOMOONで流される田中光子さん(41)の遺体発見のニュース。しかしこんなプレハブみたいなケータイショップが実在するものなのかね!?機体だけ売ってる?電波がつながるかも怪しそうなとこだけど…

物語の構造としてはやっぱりプンプンが主人公で、愛子ちゃんとまったく関わりのない中学後半と高校時代、バイト時代を経て、愛子ちゃんと再会し、愛子ちゃんを超える精神力の持ち主となって愛子ちゃんに悲嘆させるというオチ。

 

何しろプンプンはひねくれた精神を正常なものに戻そうとそれはそれは苦心していたのだから‼

「…小野寺くん。君が真面目な人ってことはよくわかった。けど、一人でいじけてたって仕方なくない?君が何にこだわってるのか知らないし、ひとりきりなら他人を傷つけないってのも確かにわかるけど。一人で生きていけるほど世の中単純じゃないし、第一君はそんなに強くない。…ちがう?」

共闘の作法を僕らは知らぬのだ‼多少はこちらから失礼なことを申しても構わないだろうという精神で生き始めた所存ですが、出会う人、出会う人、皆俺っちとは積極的にかかわろうとはしてくれない。皆僕が期待してるよりずっと軟弱なのだ‼無神経に話しかけ続けることはできない、なぜなら俺は革命の話をしたいわけではなく、いわば日常の平平凡凡な会話を交わせるようになりたいのだが、果たしてその無味乾燥な会話を展開し続けるだけの無意味耐性は僕にはない‼どーしようもなくつまらなく感じて終いには何も言葉が浮かばなくなる。俺の世界に対する関心が閉じていくのが分かる…‼‼漫画や文学上で行われているほどドラマチックな悲劇は僕らには訪れないのだ‼なぜならまず世界の難題に立ち向かうパッションがなければ困難などふりかかってすらくれないのだから。世界の難題に立ち向かうためのパッションはまず身の周りの人々と心を通わし悩みの種をきかせてもらうことから始まる、という円環構造なので生まれながらにそこに入り込めなかった人間はどうあがいてもなかなかその流れに入れてもらえない。情熱が0の状態から情熱が自然に発電されるサイクルにトリッキーなやり方で入る手立てを探すしかない。

「…僕はやらなきゃいけないことがあるんで。」

「やんなきゃいけないこと?」

「…昔、好きだった女の子と決着をつけなきゃならんのです。」

「…決着?…告白でもすんの?」

「そういう訳じゃないですけど………でも、とにかくもう一度会わなきゃいけない気がして、今日みたいに街を毎日毎日探し回っているんですね、僕ァ。」

こうもこっぱずかしいことを白状できちゃう時点で僕より一歩進んだ人間ですよ。だってこの瞬間理性はいったん放棄したでしょ?更生を受けるチャンスなわけです。

「んーー…単に諦めがつかないってだけ?そんな効率の悪いこと、いつまでも続ける訳にはいかないっしょ。」

「…二年後、今のアパートの契約期間が終わるまでは一応。」

「それまでに見つからなかったら?」

「…ふぅん。だんまりですか…

…その女の子ってさぁ、小野寺くんの同級生とかなんでしょ?当時の名簿見るなり他の同級生の巡るなりで、いくらでも連絡ぐらいつくはずだけど?

…君さ、本当は内心その女の子に会いたくないんじゃない?君はその子に運命的な再会を期待してるんだろうけど、そんなもんになんの意味があるの?あたしにはただ単に、結論を先送りにする言い逃れにしか思えないんだけど。あたしの予想だと君の言う二年後はもちろん、十年後も君は同じように言い訳を探してると思うな。一見 苦悩してるように見せて、実はなんにも考えてないし行動もできない、不毛な人生を送るんでしょうよ。

…いや別に構わないんだけどね、沢山いるもん、そういう絶望ごっこで満たされてる人。…でも君のその絶望って無駄だと思うよ。…なんでって、君は孤独を望んでいて、その絶望を誰とも共有できない訳で、

…いいかな小野寺くん。例えば あたしと再会したことも運命のひとつだと思うんだけど、この出来事を単なる偶然ととるか、運命と考えるかは、君の意思次第なんだな。

…どうする?あたしがその女の子探し出してあげようか?君の言う決着ってものがどんなもんなのか見てみたいわ。

そんな些細な思い出なんて片付けちゃって、新しい明日のために賢く頭使っておもしろおかしく暮らしたら?」

「…やめてください。」

「…ほら。その女の子の名前教えてよ。あたしが三日で連れてきてあげる。」

「…や、やめてください‼」

「だったら今すぐ死ね‼」

はんなり半泣きですわぁ。。。